吹き抜けでも寒くない断熱の設計の秘訣と快適な家づくり
投稿日: 2026.09.11吹き抜けのある家は、その開放感から多くの人に憧れられる一方で、冬場に寒さを感じやすいというイメージを持たれることがあります。
しかし、適切な断熱設計と工夫によって、吹き抜けがあっても快適で暖かい家を実現することは十分に可能です。
この記事では、吹き抜けと寒さの関係、そして寒くない家づくりに不可欠な断熱設計について解説します。

吹き抜けのある家は本当に寒くなるのか
吹き抜けの開放感と寒さの懸念
吹き抜けは、リビングなどの空間を縦方向に広げることで、視覚的な開放感や明るさを大幅に向上させます。
家族が集まる中心的な空間がより広く感じられ、開放的な雰囲気を演出できるのが魅力です。
しかし、その一方で、部屋の容積が大きくなるため、冬場に暖房で温めた空気が天井付近に溜まりやすく、床付近の温度が上がりにくいという特性があります。
これが、吹き抜けのある家は冬場に寒くなると言われる主な理由です。
寒さの原因は断熱性能と設計
吹き抜けのある家で寒さを感じる直接的な原因は、単に吹き抜けがあることだけではありません。
その家の断熱性能や、空間をどのように設計しているかが大きく影響します。
具体的には、壁や窓、天井の断熱性能が低い場合や、建物の気密性が低いと、せっかく温めた空気が外に逃げやすくなります。
また、自然の光や風を効果的に取り入れる設計がされていないと、室内の温度調整が難しくなり、寒さを感じやすくなるのです。

吹き抜けがあっても寒くない家の断熱設計とは
高断熱基準の採用が必須
吹き抜けがあっても寒くない家を実現するためには、まずHEAT20 G2(等級6)といった高い断熱基準を満たすことが不可欠です。
これは、住宅の断熱性能に関する基準の中でもトップクラスであり、UA値で0.46以下を目指すことで、ZEH基準を上回る高い断熱性能を確保できます。
これにより、外気温の影響を受けにくく、室内の温度を一定に保ちやすくなります。
UA値とC値の重要性
住宅の性能を示す指標として、UA値(外皮平均熱貫流率)とC値(相当隙間面積)が重要です。
UA値は住宅全体の断熱性能を表し、この値が低いほど断熱性能が高いことを意味します。
一方、C値は住宅の気密性を示す指標で、この値が低いほど隙間が少なく、気密性が高いと言えます。
アトリエ アンデパール一級建築士事務所では、UA値0.46以下を標準とし、全棟で気密測定を実施しC値0.5以下を目指すことで、高断熱・高気密な住まいを実現しています。
自然エネルギーを活用するパッシブ設計
寒くない家づくりには、断熱性能を高めるだけでなく、自然の力を最大限に活用するパッシブ設計も重要です。
パッシブ設計とは、自然の光や風を効果的に取り入れ、利用する設計手法のことです。
例えば、冬場は太陽の光が差し込む南側に大きな窓を設けることで、自然の熱を利用して部屋を暖めることができます。
また、風の通り道を考慮した設計は、夏場の室温上昇を抑え、快適な室内環境を作り出すのに役立ちます。

吹き抜け空間の断熱設計における工夫
熱交換換気システムの活用
高断熱・高気密な住宅では、計画的な換気が不可欠です。
熱交換型の第一種換気システムは、室内の汚れた空気を外に排出しながら、同時に新鮮な空気を室内に取り込む際に、排気される空気の熱を回収して給気する空気を温める(または冷ます)仕組みです。
これにより、24時間計画換気を実施しても、室内の快適性を損なうことなく、省エネルギー効果も期待できます。
断熱性能の高い窓の選択
窓は、住宅の中で熱の出入りが最も大きい箇所の一つです。
吹き抜け空間においても、断熱性能の高い窓を選ぶことは非常に重要です。
例えば、複層ガラスやトリプルガラス、Low-E複層ガラスなどを採用することで、窓からの熱の流出を大幅に抑えることができます。
デザイン性だけでなく、断熱性能や遮熱性能も考慮して窓を選ぶことが、快適な室内環境には不可欠です。
適切な空調計画
吹き抜け空間の寒さ対策には、適切な空調計画が欠かせません。
全館空調システムを導入することで、家全体の温度を一定に保つことができます。
また、床暖房や、吹き抜け部分の冷暖房効率を高めるためのシーリングファンなどを活用することも有効です。
これらの空調設備を、断熱性能や気密性能と合わせて最適に計画することで、吹き抜けがあっても一年を通して快適な室温を維持することが可能になります。
まとめ
吹き抜けのある家は、開放感や明るさを楽しめる一方で、断熱・気密性能や空調計画が十分でなければ、冬場に寒さを感じることがあります。
しかし、HEAT20 G2などの高い断熱性能に加え、気密性の確保、断熱性の高い窓、熱交換型換気システム、適切な空調計画などを組み合わせることで、吹き抜けがあっても快適で暖かい住まいを実現できます。
「吹き抜けがあるから寒い」のではなく、吹き抜けを含めた家全体の性能と設計が、暮らしやすさを左右します。
開放感のある住まいを楽しみながら、一年を通して心地よく暮らすためにも、デザインだけでなく断熱・気密・空調までトータルで考えた家づくりが大切です。



